異世界魔法は、ありませぇん!
魔法に憧れる主人公が異世界に転生したが異世界にも魔法がなかったので一から魔法を作り上げるという少し変わったコンセプトの異世界転生アニメ。
魔法を開発するっていう題材は面白いけど作品のクオリティはう~ん、普通かそれ以下って感じ。
魔法のない世界で魔法を作り上げていくっていう発想は面白い。
しかし終盤では魔法が存在しないという前提が崩れる衝撃の事実が判明する。
作品情報
原作 | 鏑木カヅキ |
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監督 | 古賀一臣 |
シリーズ構成 | 大知慶一郎 |
キャラクターデザイン | 野口孝行 |
音楽 | 吉川慶、橋口佳奈 |
アニメーション制作 | スタジオディーン |
製作 | マジック・メイカー製作委員会 |
放送局 | テレビ東京ほか |
放送期間 | 2025年1月9日 – 3月27日 |
話数 | 全12話 |
30歳まで童貞なら魔法使いになれる
主人公は魔法使いに本気で憧れている現代の30歳男性。
私室は魔導書と思われる怪しい本で埋め尽くされており、本気で痛い奴ということが一目でわかる。
30歳まで童貞なら魔法使いになれるという伝説に最後の望みをかけて誕生日を迎える。
わざと童貞でいたのかただ彼女ができなかっただけなのかは不明だ。
前者ならそれはそれでかなりヤバイ奴である。
しかし何か起きるわけもなく虚しい30歳の誕生日を迎えたかと思ったら心臓発作で死亡してしまう。
あまりに不憫すぎて開幕から泣けてくる(笑)
せっかく魔物が存在するファンタジーの世界に転生したが調べても魔法の存在は確認できない。
魔物がいるのに魔法がないというのも違和感を感じるがまあしょうがない。
それでも諦めきれずゼロから魔法を作ろうとするのが本作だ。
普通なら諦めるところだが魔法に対して並々ならぬ憧れが主人公を突き動かしてゼロから魔法を作り上げようとする。
普通のなろう系なら呼吸しているだけでチート魔法が手に入ることが多い。
しかし本作は血と汗がにじむ研究によって魔法を習得するという努力の過程がしっかりと描かれており好感がもてる。
魚の交尾から始まる魔法開発
魔法開発のキッカケは湖から光の玉が浮き上がる不思議な現象を目にしたことだ。
なぜかこの世界の魚は発情すると光の玉を発生させる。
光の玉はどうやら魔力を使って発生させているようで自分の中にもその魔力が存在することがわかる。
最初は魔力を手に集めて光らせたり温かくする程度しか出来ない。
火に魔力を触れさせると青く燃えたり、魔力を与えた火は空気を遮断しても消えないなど検証を続けていく。炎色反応か?懐かし。
まるで科学の実験だ。
実験自体は小・中学校の科学の授業みたいな内容で特段おもしろいわけではない。
しかし地道に研究していく様子から主人公の魔法に対する熱意が感じられる。
ひたむきに努力を続ける主人公には素直に好感をもてる。
5話にしてやっと実用レベルの炎と雷の攻撃魔法を使えるようになる。
ここから水や風など色々な魔法を使えるようになってくる。
実戦で魔法を使いやすくするために特殊なグローブを作ってもらう。
なぜかグローブだけCGになってるのだがこのCGのクオリティが低すぎてかなり目立つ。
のっぺりテカテカグローブ。
指パッチンによって火花を発生させ炎の魔法を発動したり雷撃を放つことができる。
魔法のエフェクトはかなり派手でカッコイイが全体的な作画は普通~ちょっと悪いくらい。
納得の童貞
主人公が魔法の研究をしたり戦っているときの様子はそれなりにカッコイイ。
しかし気持ち悪いと感じる場面もある。
魔法の実験が成功したときは、
喜びのあまりクレヨンしんちゃんみたいな笑い方になる。
アヘ顔の一歩手前だ。
愛嬌のある幼い子供がやるなら笑えるが、中身が30歳成人男性と思うとゾッとする。
姿は少年だが30歳童貞がよだれを垂らしながらアヘ顔一歩手前の笑顔をみせてきたらヤバい薬をやってるんじゃないかと疑いたくなる。
この笑い方のせいで30歳まで童貞だったんじゃないか?
他にも気になるのが姉弟関係だ。
幼い頃から一緒に育ってきた姉と本気で結婚を考えたりする。
本当にただの少年ならまだ許容できるが中身が30歳を超えているので何とも言えない気持ち悪さを感じてしまう。
姉は姉で異常なまでに主人公にくっついて行動しており、将来主人公が誰かと結婚することを想像して泣いてしまう場面もある。
あらゆる場面で中身が30歳を超えているという設定が邪魔に感じる。
前世での魔法への憧れが原動力となっているので必要な設定ではある。
しかしどれだけ純朴な性格だろうと中身が30歳超えているという前提条件があることで歪んでみえてしまう場面が多い。
怠惰病
後半になると赫夜という空が赤く光る現象と謎の魔物が現れ始める。
同時に姉が怠惰病という無気力で何もできなくなる病にかかる。
原因を突き止めるため奔走するのだが、
魔力が病気に関係していることを突き止める。
怠惰病患者は全員魔力が枯渇した状態となっており、
魔力を分け与えることで症状がある程度改善する。
しかし健常者に魔力を補給し過ぎた場合も怠惰病症状がみられることがわかる。
魔力が少なすぎても多すぎても怠惰病になってしまうようだ。
最終的には魔力を大量に分け与えることで怠惰病を治療できるようになるので、
魔力が多すぎてもダメという設定が何のためにあったのかよくわからなかった。
よくしゃべる魔族
終盤で再び赫夜が発生し、魔族と呼ばれる強敵が登場する。
主人公の何百倍ものとてつもない魔力をもっており魔術という魔法と何が違うのかよくわからない術も使える。
最初は強キャラっぽい雰囲気で登場するのだがこいつがよくしゃべるしゃべる。
一人でしゃべって一人で勝手に納得したりする。
重要そうな情報もべらべら話して自己満足したところでやっと主人公との戦いが始まる。
主人公の魔法をみて「魔術が使えるようだな、拙いが」と語り掛けてくる。
主人公は「これは魔法だよ、魔術なんてものじゃない!」と言い返す。
なんか違うの?
特に説明もないので違いがわからない。
主人公は魔法厨なので魔術と言われることが気に入らないようだ。
きのこタケノコ戦争的な話に思えてくる。
お腹を壊す魔族
魔族が主人公を気に入り無理やり眷属にしようとする。
どうやら吸血鬼だったようで噛みつかれて血を吸われてしまう。
しかしどういうことか主人公の血を吸った途端に苦しみだす魔族。
どうやら主人公の血は激マズだったようでこのまま死ぬんじゃないかというくらい苦しみ始める。
魔族が「貴様!妖精の祝福を受けていたのか⁉」と驚くが、
私も一緒に驚く。
え?加護とかいつの間に?
おもわず戻って見直した。
確かに魔物の巣から妖精を助けたシーンはあった。
しかし祝福されたような様子はなく鳥かごから出してあげただけだ。
まあ加護って目に見えないものなのかもしれない。
魔族も血吸うまで気づけなかったわけだし。
牡蠣喰って当たってしまったみたいな感じなんだろう。
ご都合展開こそ本当の魔法
魔族が苦しみながらも強力な炎の魔術を発動しようとしてくる。
主人公は過去の実験で炎魔法に魔力をぶつけると炎が増大することを知っていた。
魔族はそういった魔力の性質をわかっていないようだ。
魔族が発動しようとした炎魔術に自分の魔力をぶつけて自爆させることに成功する。
過去の実験が伏線となって魔族を撃破できた的な流れにしたいのだろうが、この時までに戦いの中で何度も炎魔法を使ってきてるので最初からやれよと思ってしまう。
あと魔術とか魔法とか結局何が違うのかわからない。
とどめは主人公の魔力ではあるが勝因は妖精の加護とかいういつの間に加護られたのかもわからない要素。
ご都合展開すぎてなんとも締まらない決着だ。
総評:異世界魔法は、ありまぁす!
評価は★2くらい。
魔法をゼロから作り上げるっていうコンセプトはよかったと思う。
でもストーリーはかなり微妙。
中盤までは魔法開発の過程を丁寧に描いているといえば聞こえはいいけど、
内容は理科の実験みたいで懐かしさは感じるけど割とすぐに飽きる。
魔法が使えるようになってからは戦闘も増えるけど最後の戦い以外は雑魚を惨殺するだけなので盛り上がりに欠ける。
作画も全体的にクオリティは低め。
終盤の魔族との戦闘もあまり盛り上がらない。
魔族も最初は強キャラっぽいけど、いちいち戦闘を止めておしゃべりを始めるのでテンポが悪くて盛り上がりたくても盛り上がれない。
妖精の加護もポッとでの設定でご都合展開でしかないし、主人公よりもはるかに長い時間魔術を使ってきてるであろう魔族が魔法の炎に別の魔力が触れると爆発すると言う性質を知らないのも無理がある。
最後に魔法がないから作ったと思っていたら魔法はあった上に自分が魔法を使えるのは血筋のおかげという衝撃ネタバレがある。
最終話にして作品のコンセプトがぶっ壊れてビックリ。
魔法はありません!と思ったらやっぱり魔法はあります!という手のひら返しなアニメだった。